世界には、これだけ多彩な憲法があります


1. 基本的人権に関して


オランダ王国憲法 第1条【平等】

 オランダにいる人はみな、おなじ条件のもとでは平等にあつかわれる。宗教、信条、政治に関する意見、人種、性別、そのほか何にもとづこうが、差別はゆるされない。


スイス連邦憲法 第8条【平等】

1 すべての人は、法の前に平等である。
2 何人も、出生、人種、性別、年齢、言語、社会的地位、生活様式、宗教的・哲学的もしくは政治的信条を理由として、または、身体的・精神的障害を理由として、差別されてはならない。
3 男女は、同権である。法律は、とくに家族、教育および労働の分野において、両性の法律上および事実上の平等を確保する。男女は、同一価値の労働について同一の賃金を得る権利を有する。
4 障碍による不利益を除去するための措置を法律で定める。


スイス連邦憲法 第10条【生命および人格的自由への権利】

1 何人も、生命への権利を有する。死刑は、これを禁止する。
2 何人も、人格的自由、とくに身体的・精神的不可侵、ならびに、移動の自由の権利を有する。
3 拷問その他残虐で非人道的なまたは品位を傷つける処遇もしくは刑罰は、これを禁止する。


フィンランド憲法 第17条

3 国内先住民としてのサーミ人、およびロマ人その他の民族集団は、固有の言語と文化を維持し、発展させる権利を有する。サーミ人の、公的機関においてのサーミ語を使用する権利については法律によって定める。手話の使用者および、身体障害のため通訳および翻訳の補助を要する者の権利は、法律によって保証される。


スイス連邦憲法 第25条【退去、引渡しおよび送還からの自由】

1 スイス人は、スイスから退去させられることはない。また、外国の機関に引き渡されるのは、本人の同意がある場合に限られる。
2 難民は、迫害を受ける国に強制的に送還され、または引き渡されない。
3 何人も、拷問その他残虐で非人道的な処遇もしくは刑罰を受けるおそれがある国に強制的に送還されない。


スペイン王国憲法 第47条【住居権、土地利用の規制】

 すべてのスペイン人は、相応かつ適切な住居を享受する権利を有する。公権力はこの権利を実効あるものにするために必要な条件を整備し、かつ適切な規範を定め、並びに、全体の利益に基づいて投機を阻止するために、土地利用の規制を行う。
 地域住民は、公共団体の都市計画により生ずる利益の配分を受ける。


スイス連邦憲法 第74条【環境保護】

1 連邦は、人およびその自然的環境を、有害または不快な作用から保護することにかんして、規則を制定する。

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2. 国際社会と国際法に関して


大韓民国憲法 第6条

1 この憲法に基づいて締結、公布された条約及び一般的に承認された国際法規は、国内法と同等の効力を有する。
2 外国人は、国際法及び条約が定めるところにより、その地位が保障される。


オランダ王国憲法 第90条

 政府は、国際社会における法の支配の発展を推進する。


オランダ王国憲法 第94条

 王国内の法律や規則で、すべての人に力がおよぶ、条約や国際機関が決めたことに合わないものは、すべて無効である。


ドイツ連邦共和国基本法 第25条

 国際法の一般原則は、連邦法の構成部分である。それは、法律に優先し、連邦領域の住民に対して直接、権利および義務を生じさせる。


フィリピン共和国憲法第2条第2節

 フィリピン国は、国策の手段としての戦争を放棄し、一般的に確立された国際法規を国法と認め、平和・対等・公正・自由・協調および諸国民との友好を政治原理とする。


イタリア共和国憲法 第11条(戦争の制限および国際平和の推進)

 イタリアは、他国民の自由に対する攻撃の手段としての、および国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、他国と同等の条件で、諸国家の平和と正義を保障する機構に必要な主権の制限に同意し、この目的のための国際組織を促進し、かつ助成する。


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【番外編・国際法と国内法の相関図】


 各国において、国際法と国内法は下記のような関係になっていると思われる。

 オランダは 国際法>国内法
 韓国は   国際法=国内法
 日本は   日米安保>(各種行政法)>憲法>国際法

 あるいは、

 米国+日本 米国内法>日米安保>(各種行政法、米国政府の要望書)>日本国内法>国際法

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3. その他


ミクロネシア連邦憲法前文

われらミクロネシアの民は、主権者として、
ここにミクロネシア連邦憲法を制定する。

この憲法のもとに、われらの共通の願いとして、
平和と調和のうちに生き、
過去の伝統を守り、
未来への約束を果たすことを宣言する。

多くの島々が織りなすひとつの民族となるために、
われらはその文化の多様さを尊重する。
おたがいの違いこそが、われらを豊かにするからだ。
海流はわれらを結び合わせるものでこそあれ、引き離すものではない。
島々によってわれらは生かされ、
島国だからこそわれらは広がり、強くなれたのだ。

われらの祖先はその家をここに定めたけれど、だれかを追い出すことはしなかった。
それを受け継ぐわれらは、ここ以外の故郷を望まない。
戦争を知っているからこそ、われらは平和を願う。
分割されていたからこそ、われらは一つであろうと望む。
支配されていたからこそ、われらは自由を求める。

ミクロネシアの歴史は、ヒトが筏やカヌーで海に乗り出した時にはじまった。
そしてミクロネシア民族は、人びとが星ぼしを航海する時代、
つまり地球そのものが一つの島となった時代に誕生した。
われらは共通の人間性にもとづく、平和、友情、協同そして愛をすべての民族に届け、
また皆からもそれを得たいと願う。
この憲法とともに、
他民族に保護されていたわれらは、いま、そして永遠にわれらの島々の誇り高い守護者となる。



大韓民国憲法 前文

 悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び、不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、正義、人道及び同胞愛により民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和を基礎として自由民主的基本秩序を一層確固にして、政治、経済、社会及び文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮させ、自由及び権利に伴う責任と義務を完遂させ、内には国民生活の均等なる向上を期し、外には恒久的な世界平和と人類共栄に貢献することにより、我々と我々の子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを誓いつつ、1948年7月12日に制定され、8次にわたって改正された憲法を、ここに国会の議決を経て、国民投票により改正する。

1987年10月29日




オランダ王国憲法 第1条【平等】

 オランダにいる人はみな、おなじ条件のもとでは平等にあつかわれる。宗教、信条、政治に関する意見、人種、性別、そのほか何にもとづこうが、差別はゆるされない。


ドイツ連邦共和国基本法 第1条 【人間の尊厳、基本権による国家権力の拘束】

1 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。
2 ドイツ国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める。
3 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。


ポーランド共和国憲法 第1条【共同善としての国家】

 ポーランド共和国は、すべての市民の共同善である。


スウェーデン統治法典

第1条

1 すべての公権力は、人民(the people)から発する。
2 スェーデン民主主義は、言論の自由と普通平等選挙に基づき、代表性議会主義と地方自治を通じて実現されなければならない。
3 公権力は、法律に基づいて行使されなければならない。

第2条

1 公権力はすべての人間の平等ならびに個人の自由および尊厳を尊重し行使しなければならない。


イタリア共和国憲法 第9条

2 共和国は、国の自然美、ならびに歴史的および芸術的遺産を保護する。


スイス連邦憲法 第11条【児童と青年の保護】

1 子どもと若者は、とくに人格の完全な保護とその成長の促進への権利を有する。
2 子どもと若者は、不可侵性について年齢にふさわしい固有の保護を受ける権利、および成長を励まされる権利をもつ


オランダ王国憲法

第19条

1 仕事の口がじゅうぶんに確保されるようはたらきかけるのは、政府の義務である。
2 労働者の法的地位に関する規則、労働者をまもるための規則、また労働者と使用者の共同決定に関する規則は、法律で定める。

第20条

1 住民の社会生活を保障し、富を配分することは、政府の義務である。

第23条【教育】

1 教育は政府の、尽きることのない課題である。


デンマーク王国憲法 第76条【教育を受ける権利】

 学齢期にあるすべての子どもは、小学校において無料で教育を受ける権利を有する。自ら子どもないし被保護者のための一般小学校の標準に等しい教育を受けさせてやれる親ないし保護者は、その子どもないし被保護者を公立学校において教育させなくてもよい。


オランダ王国憲法 第68条

 それが国家の利益に反しないかぎり、国会の各院または両院合同会議でひとりまたは複数の議員が要求するあらゆる情報を、国務相と長官は口頭か文書で提供しなければならない。


スウェーデン憲法 第6条

1 国会は、国会が定めた規則に基づき、公務員による法律その他の制定法の適用を監視する目的のため、一ないし数名のオンブズマンを選出しなければならない(後略)


オランダ王国憲法 第124条

1 州や郡の自治体は、その内部に対する条例を作り、またそれを治める権力をもつ。


スイス連邦憲法 第3条【邦(カントン)】

 邦は、その主権が連邦憲法によって制限されない限りで主権を有する。邦は、連邦にゆだねられないすべての権利を行使する。


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