「民権にはじまる憲法へ
―――時代塾改憲フォーラム」
憲法改正!?
いまの憲法論議からこの国の未来がみえてきますか?
これまでの憲法論議は、歴史に目をつぶり小手先の改作に走る改憲派と今の憲法をろくに調べもせず祭り上げるだけの護憲派による、きまり文句の投げ合い続きで新鮮さも多様性も感じられません。いったい他の立場はないんでしょうか。
政治家や文化人の議論といえば憲法9条をめぐるものがほとんどで、憲法全体の枠組みへの問いかけがありません。また、諸外国の憲法のすぐれた点に学ぼうとする姿勢がなく、世界人権宣言や国連憲章、国際法などの視点がまったく抜け落ちています。
いまこそ、こうした議論を超えて、日本の風土に根ざした、私たちの法としてふさわしい憲法を全面的な改憲によってつくりあげるときではないでしょうか。その理由として、今の憲法の欠陥をあげてみましょう。
私たち自身が議論し、自ら憲法をつくったことは一度もありません。伊藤博文らの薩長藩閥政府が自由民権運動などを弾圧して国民に押しつけた大日本帝国憲法を、敗戦後あわてて修正し、お上がふたたび国民に押し付けたものが日本国憲法です。そのため条文の構成がちぐはぐで矛盾したものになっています。
現在の憲法が制定された後に国連で採択された世界人権宣言ともすれちがい、さらにその後、世界の法となった環境権・子どもや女性、高齢者の権利・障害者の権利・少数者や先住民の権利・外国人や難民の保護などが、いずれも含まれないものになっています。
国連および国際社会と日本との関係、具体的には国際法や条約と憲法との関係が良く分からないものになっています。このため、外交の基本が定まらず、日米軍事同盟(日米安保条約)に現在の憲法が従属する不条理が起きています。
東京一極集中や官僚主権の解決に必要な地方自治や地方分権の規定が不明確です。情報公開やオンブズマン、景観保護といった規定も欠けています。そして、これらは多くの諸外国の憲法にはあたりまえに記されていることです。
ほんと?→
(1)
(2)
(3)
(4)
をクリックすると、それぞれの説明をお読みいただけます。
明治時代には大日本帝国憲法に先んじ、民権運動家の手で何十もの個性的な憲法草案が各地でつくられました。私たちはそうした先達の精神に学び、自由な眼で憲法を創造するときをむかえています。
異論にも耳を傾け、お互いに学びつつ、大きな議論を巻き起こしましょう。
ぜひとも多くの方々のご参加をお待ちしております。
2005年4月22日 時代塾改憲フォーラム
---------------------------------------------
時代塾&改憲フォーラムとは
以上の議論はメーリングリスト「時代塾」から生まれました。
時代塾は将来の雑誌創刊をめざしつつ、「地方から日本を変える」「アジアと手を結んで新しい日本をつくる」を課題に、討論を重ねる有志の集まりです。
そこで現代日本が抱えるさまざまな問題を議論するうち、それらが「明治維新」そして「法の不在」という共通の根を持つことがだんだん明らかになりました。それは、
・法ではなく「勝てば官軍」「富国強兵」といった力への崇拝を明治維新と呼び、建国神話として祀り上げてきたため、近代日本は、対等な民の意志を法に表し民族国家を創設するという発想や経験をほとんど持ったことがない。
・現行の日本国憲法も、明治国家のお上主権を引きずり、しかも神棚に祀られていることには変わりがない。
・そのため幸福、正義、自由、平等、寛容そして国際関係の表現として憲法をとらえ、地域や民の権利に根ざした国のあり方をイメージする出発点とすることができない。
・それを克服するには、まず憲法を市民の手に取り戻すこと、すなわち全面改憲運動が不可欠−−という認識です。それは、そのまま改憲フォーラム設立の動機でもあります。
改憲フォーラムのめざす新しい国のかたちは、つぎに述べるように主権を人々と地方におく、スイスなどをモデルにした連邦共和制国家です。しかし、ここでは立場にかかわりなく多様なご意見が行き交い、法とはなにか、私たちの憲法とはなにかを深く問い直す場となることを希っております。
※ 「時代塾」の主張に関して、
こちら
の方に趣意書を用意しております。あわせてごらん下さい。
改憲フォーラム憲法改正案のあらまし
時代塾改憲は、スイス、ヨーロッパの小国、
韓国
などの共和主義の系譜に学びます。
1、政体は、地方分権(自治)を徹底した連邦共和制とする。また、共和主義の観点から、
官僚
・政党・マスコミ・オンブズマンといった、新しい権力に関する規定も定める。
2、主権は民[たみ]びと(人民)にあることを 独立した条文
として明記。明治以来の 天皇制はゆるやかに廃止。皇族にも基本権を保障する。
3、人権条項は、国際人権法( 世界人権宣言、国際人権規約、
国際人道法、 女子差別撤廃条約
や 子どもの権利条約など)が優越し、自動的に国内法の一部を構成することを明記。現行憲法の「公共の福祉」という文言は、恣意的な解釈が入りやすいので、すべて廃止する。また、
環境権、
情報アクセス権などの新しい分野も規定する。
4、外交・安全保障は国連中心主義で、 国際法の優越および国際法の支配の推進
を原則とする。安全保障は、食糧・資源・災害なども含む包括的な人権保障、国際法の擁護・発展という枠組みでとらえ、日本の国情に合った安全保障のありかたを構想する。あらゆる軍事同盟は禁止する。
5、社会保障の規定は、国際法(国連憲章や国際労働機関)の基準が優越する。
現行憲法の「最低限度」の文言
は廃止し、誰でも人格の尊厳を奪われず人間らしい暮らしを営む権利がある
ことを明記。
6、国家の第一の義務は、民びと(人民)の権利保障である。どうじに民びとは、他者の人権(権利・人格の尊厳)を尊重する義務
を負う。
*時代塾改憲の根幹をなす自然法思想については、こちらをご一読ください。
関曠野「自然法について」
自然法に関する時代塾での議論(メーリングリストから抜粋)
改憲フォーラムがめざす方向
改憲フォーラムの目標は、多くの方々の参加と開かれた議論を通して、より良い憲法草案を錬ると同時に各々が憲法の意味や成り立ちを理解し、思想を憲法として書き表わすセンスを磨くことです。そこで、一見分かりやすい道ではあっても、初めから完成された憲法草案を提示することはしません。
議論の進め方としては、ブログ上で現行の日本国憲法を条文や項目別に分けて検討、各国の憲法や国際法とも比較し、対案を議論して行きます。
また、改憲フォーラムじしんの憲法草案のほか、憲法や法を考えるための資料庫、文献リスト、各国の憲法条文を比較対照するためのデータベースなどを準備しております。そうした共同作業に参加される方も大歓迎です。
改憲フォーラム各サイトへのご案内
時代塾改憲フォーラムは、このホームページおよび以下のブログ・掲示板からなっており、それぞれタイトルをクリックして開くことができます。また、各ブログからも本文の脇のタイトルをクリックして開くことができます。
1 憲法草案集ブログ:
時代塾の憲法草案や、その参考となった各国の憲法条文を紹介しています。
2 公開掲示板:
憲法や改憲案を中心とする公論の場です。
3 資料庫ブログ:
他のブログに収録されたりされていない憲法条文、参考文献、リンク、議論のまとめなど、
改憲フォーラムの資料を集成・保管・分類・公開するブログです。
4 スイス憲法と日本国憲法ブログ:
スイス憲法との対比を通して、日本国憲法の問題点を浮き彫りにするブログです。
5 世界人権宣言と日本国憲法ブログ:
世界人権宣言や各国憲法との対比を通して、人権条項を中心に日本国憲法の問題点を明らかにするブログです。
議論の場が拡散し過ぎないよう、ブログ1をトラックバックに、掲示板2をコメントに開放します。このホームページや3〜5のブログへのご意見も、こちらへお寄せください。
リンクはフリーですが、リンク先はこのホームページのURLをお使いください。リンクを張られた方は、できれば
メールにてお知らせいただけると幸甚です。
改憲フォーラムのメールアドレス:jidaijukukaiken@gmail.com